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水たまりの恋

2015.07.21 Tuesday 00:14
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    皆様!今日はいつもと違う時間にこんばんはです!

    実は今回、BL-R18+のひかるさん主催の「水たまり祭り」に参加して、短編を書かせていただきました。
    いつもの6日分くらいあるのですが、よろしければおつき合い下さいませ。

    また、このお話は『王子様の右手』の中学時代編となっております。
    こちらだけでも読めるようにと思って書いてはいますが、もしご興味がおありの方は、『王子様の右手』もご覧いただけると嬉しいです。

    それでは、『水たまりの恋』始まり始まりです 


    ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


     向田浩はその時、美術教師に頼まれて、校舎裏にある陶芸釜までクラスメイト達の作品を運んでいくところだった。木製のトロ箱に入れられた粘土製の皿は22人分で、これが後もう1箱ある。他のクラスの分は運ばなくて良いのかと心配になったが、出過ぎたことを言ってもいけないだろうかと悩んだ末、とりあえず言われた分だけ運んでみることにした。

     今年の4月に中学に入ったばかりだというのに、向田の身長はもう172cmもあった。おまけに学年で唯一変声期を半ばまで終えているので、入学した当時は何度も「先生かと思った!」と、その場にいるだけで驚かれていたらしい。
     「らしい」というのは、それを面と向かって直接言ってくる人がいなかったからだ。向田はクラス内でも少々遠巻きに生徒達から扱われていた。遠巻きにされているのには、理由がある。

     向田の頬には、左顎から頬の半ばにかけて、大きな傷痕があるのだ。クラスメイト達だけではなく、上級生も教師連中もこの痕を怖がっているのを、向田は知っている。

     ケンカの痕だとかヤクザの息子だとか、そういう陰口には馴れている。物心着く前に事故でついたこの傷痕は、多少色が薄くなってはきたが、成長と共に引き攣れたように大きくなり、顔を占める割合は今も昔も変わっていない。自分で鏡を見ても怖いと思うのだから、他人が怖がるのもしょうがないだろう。

     でも向田は、この傷跡をあまり気にしないようにしていた。

     だって、小1の頃から一緒にいる戸越克也が、いつも全力で自分を庇ってくれたから。

    「小学生がケンカしてこんな怪我する訳ないだろ!バーカバーカ!!」
    「向田のお父さんは駅前のパン屋さんだぞ!お前らあそこのパン食べたことないのかよ!ヤクザがあんなおいしいチーズあんパン作れる訳ないだろ!!」

     そう言って、身体の小さい戸越は、自分よりも大きな同級生や上級生に対しても、くってかかってくれた。

    「戸越、ダメだってば!俺大丈夫だから!!」

     向田はいつもオロオロと戸越を止めた。学年で一番大きな自分が、自分よりも小さな戸越に庇われるだけなんて、恥ずかしいし情けないと思う。
     それでも、内心では戸越が自分のために怒ってくれるのが嬉しかった。そんなこと、とても口に出しては言えないけれど。

     向田は、自分が「そういう目」で見られているのを知っているし、実際体の大きい分だけ力も強いことを知っているから、ケンカはしないようにしてきた。だから向田はいつもオロオロと戸越のシャツの裾を掴んで、「もう良いから!」「もう良いから!」と言い続けてきたのだ。

     戸越のシャツを握りしめるのが、向田の精一杯。そんな関係のまま、小1から数えて今年で7年目になる。さすがに同じ小学校出身の友達は、向田が無口なだけで、頼み事はイヤと言えない優しい男だと知っている。率先して仲良くなろうとは思わないけれど、同じクラスにいるとちょっとラッキー。同小(おなしょう)出身者にとって、向田はそんな存在だ。

     だが、向田が入学した公立中学は、3つの小学校から生徒が集まってきていて、3分の2の生徒達は、向田のことをよく知らないのだ。
     また「ヤクザの息子」から始まって、噂話も1からやり直しだ。しかも身体が大きくなったせいか、新たに「目を合わせたら殴られる」とか、「先生に怪我をさせた」とか、全く根も葉もない噂まで出回るようになった。

          でも、別に良いんだ。だって、戸越は俺がそうじゃないって、知っててくれてるから。

     向田はそう思って、トロ箱を持つ手にぎゅっと力を入れた。


     その時、渡り廊下の隅に、女子生徒の姿が見えた。3年生の先輩と向かい合って、真っ赤になってうなだれている。

    「好きなんです、先輩。付き合ってください」
     その女子生徒は、プルプルと小さく震えているようだった。

     うわ、すごい。告白シーンだ……。
     向田は自分まで真っ赤になって、下を向いて足早に通り過ぎようとした。

     だが。

    「わっ、びびった!先生かと思った!何だよ、やらしいな!何見てるんだよ!」

     3年の先輩がこちらも赤い顔で向田を睨みつけてくる。向田は小さい声で「ごめんなさい」と謝って、急いでその場を離れた。

     女の子が男の子に必死で告白をする。
     そういう場面に、ここのところよく出くわすような気がする。

     それは向田が教師や生徒達から頼まれて、放課後の校舎の中をプリントや地図を持って歩き回っていたり、ゴミ捨てだとか用具の運搬などで校舎裏に行く機会が多いからなのだが、向田はそんなシーンをチラリと目にするだけで、なんだか幸せのお裾分けを貰ったような気になるのだ。

     女の子が必死に男の子に愛を告白する。男の子は最初は驚いて、次に嬉しそうに、でもちょっとぶっきらぼうにその告白を受ける。2人はその後、きっと一緒に並んで帰るんだ。
     男の子は女の子の鞄を持ってあげるかもしれない。そうでないなら、手を繋ぐかもしれない。
    女の子が男の子に大事にされている場面を想像すると、自分まで嬉しくなる。

     あの子、うまくいくと良いな。
     向田はまるで自分がそうされているような気持ちになりながら、2つめのトロ箱を運ぶために美術室へと急いだ。


     ◇◇◇ ◇◇◇


     向田の家には、母親がいない。4年前に病を得て、あっけなく死んでしまったのだ。
     どんなに神様にお願いしても、母はどんどん痩せて小さくなり、最後には小さな小さな箱に収められてしまった。

     あんなにお願いしたのに。それでも神様は母を返してはくれなかったし、 顔の傷も治してはくれなかった。
     だから向田は、人生に対して色んなことを期待するのはやめるようになった。

     うちに帰って洗濯物を取り込み、おばあちゃんを手伝って夕飯を作る。おばあちゃんは最近腰が痛くて立っているのがしんどいらしい。早く料理を覚えて、おばあちゃんには楽にしててもらわなければ。
     パン屋を営んでいる父親は、翌日の仕込みもあるから、帰ってくるのはいつも遅い。
     小学校3年生の妹は、先程からテーブルの上で宿題を片している。夕食後の歌番組に大好きなアイドルが出るから、どうしても見たいのだそうだ。
     あぁ、もう5時だ。もう少ししたら双子の弟達を保育園まで迎えに行かなくては。

    「……どうした、浩。何だか嬉しそうだね」
     おばあちゃんにそう訊かれて、向田は言って良いものかと少し悩みながら、今日見た話をした。

    「最近、告白してる子をよく見るような気がするんだ」
    「そう?ほら、入学式やクラス替えがあってもう3ヶ月でしょう?そろそろみんなの顔が分かって、好きな子が出来る時期なのかもしれないね。浩は、誰か好きな子はいないの?」
     おばあちゃんにそう言われ、向田は困ったように笑った。

    「好きな人なんていないよ」

     だって俺、こんな顔だし。俺に好きになられたら、きっと女の子だって困ってしまうだろう。
     でもそんな風に言えば、優しい祖母はきっと向田の顔の傷を気にしてしまうだろう。だから向田は、曖昧に笑うだけにした。

    「違うよ、おばあちゃん!もうじき夏休みでしょ?みんな夏休み前に彼氏作って、良い思い出を作りたいんだよ!」
     脇で勉強していた妹がいきなりそんな事を言って、向田もおばあちゃんもびっくりしてしまった。妹はまだ小学校3年生だ。今時の小学生は、そんな事を言うものなのか。

    「あらまぁ……。陽菜子(ひなこ)はもう彼氏がいるの?」
    「いないよ!でもこないだあーちゃんが男子に告られたの。つき合うんだって」

     しれっとしてそんなことを言う妹に、2人は思わず顔を見合わせた。

    「つき合うって……どんなおつき合いをするの?」
     心配そうな祖母の顔に気づいていないのか、妹の声は暢気なものだ。

    「どんなって、休み時間に一緒に喋ったり、放課後一緒に帰ったりするの。彼氏や彼女が出来たら、他の子は好きって言っちゃダメでしょ?だから、みんな好きな子と早くつき合いたいんだよ。夏休み前に彼女になれば、一緒に夏祭りに行ったり、プールに行ったりできるしさ」

     何だ、そんな事かと、祖母は安心したらしい。

    「そうねぇ。それは楽しそうねぇ」
    「うん!でも、ひなの好きな子は、もういっちゃんとつき合ってるんだよ。だからひな、好きって言えないの。辛いよねぇ……」
    「あらあら!そう…、それは辛いわねぇ……」

     その話を聞きながら、向田はなんだかドキドキしてしまった。

     そうか。3年生のひなにも好きな子がいるのか……。それに比べて自分は、少し遅れてるのだろうか。
     頭の中でクラス中の女子の顔を思い出してみても、どうしてもあまりピンと来ない。
     良いんだ。こういうのは勝ち負けじゃないんだから、と、向田は自分を慰めてみた。

    「じゃあ俺、チビ達迎えに行ってくるね」
    「お願いね、浩」

     向田はエプロンを脱いで、表に出た。

     好きな人か……。良いんだ。だって、女の子と一緒にいるより、戸越と一緒にいる方が楽しいし……。
     そう思いながら、向田は保育園に向かった。


     ◇◇◇ ◇◇◇


     終業式が終わると、向田は今日も担任の先生から、雑誌の束を資源ゴミ置き場に持っていってくれと頼まれた。今日は戸越と一緒に帰る約束をしているけれど、先生に頼まれたのなら仕方がない。戸越もきっと、その位なら待っててくれるだろう。

    「あ、おい、雨降ってきたぞ。向田、傘持ってきてるか?」
     教師は窓の外を見ながらそう言った。空からは最初の雨粒が、たった今落ちてきたところだ。

    「はい。折りたたみがあります」
    「そうか。多分通り雨だろうから、雨が弱まってから帰れよ?」
    「ありがとうございます」

     素直に頭を下げる向田に、教師は少し気まずくなる。他の生徒は頼み事をしてもいやがるばかりで、何でも素直に聞いてくれる向田に面倒事を全部押しつけている自覚は、じゅうぶんにあるのだ。

    「いや、こっちこそありがとう。いつも悪いな」
    「いえ。それじゃあ、失礼します」
     向田は職員室の出入り口できちんと頭を下げ、外に出た。

     資源ゴミ置き場は、図書館の前を通って非常口を出るとすぐだ。大きな屋根が架けてあるから、濡れることはない。
     雨はずいぶん大粒で、勢いも強かった。雑誌を資源ゴミ置き場に置いて、きちんとドアを閉める。よし、これで大丈夫。早く戸越と待ち合わせている下駄箱に行かなくちゃ。

     そう思って歩いていたら、図書館の中から声が聞こえてきた。

    「ねぇ、やっぱり諦められないよ。お願い、私とつき合って」

     うわ。あの子、終業式に告白なんて。ひなが言ってたな。夏休みに素敵な思い出を作るために、きっと頑張ってるんだ。
     そっと窓から中を覗くと、1年で1番可愛いと評判の小野さんが、必死に告白しているのが見えた。

          あ。

     告白されている相手の後ろ姿を見ただけで、それが誰だか分かってしまう。

     戸越だ。

     ドキドキした。戸越が、小野さんから告白されてる。しかも諦められないって、初めての告白じゃないんだ。
     向田は、女子が男子に告白しているところを見ると、幸せのお裾分けだと思う。

          普段なら。

     でも、今はちっとも幸せじゃなかった。
     だって、戸越が告白されている。

     戸越の顔はすごく綺麗だ。女の子より可愛いと、男子の間では密かに話題になっている。そのくせものすごいしっかりしていて、頼り甲斐がある。アイドルみたいとか、そのギャップが良いとか、女子からキャーキャー言われているのは向田も知っていた。
     そんな戸越だから、女子から告白されるのなんて当たり前だ。きっと日常茶飯事だ。
     しかも、学年で一番可愛い、小野さんから。

     どうしよう。立ち聞きなんてしちゃいけない。そう思うのに、足がボンドでくっつけられたみたいに、その場から離れることが出来なかった。

    「ねぇ、戸越君、今誰ともつき合ってないじゃん。だったら、私とつき合ってよ。好きな人が出来るまでで良いから!」
    「……ごめん。俺、本当はつき合ってる奴がいるんだ」

          え?

     向田は耳を疑ったが、それは小野さんも同じだったようだ。

    「嘘!何でそんな嘘つくの!?戸越君、彼女なんていないじゃん!」
    「いるよ。他の小学校行った同小の奴と、つき合ってるんだ」

     その言葉を聞くなり、向田は目の前が真っ黒になったような気がした。

     嘘。戸越、彼女いたんだ……。

     ひどく、ショックだった。
     向田には、どうしてそれがこんなにショックなのか、まるで分からなかった。

     そうしてそのまま足音を立てないように図書館の前を通り過ぎ、何とか靴を履き替えて、向田は学校の外に走り出した。


     ◇◇◇ ◇◇◇


     土砂降りの雨が降っていた。雨粒が目に入るのも構わず、向田は走り続けた。メチャクチャに走った。家があるのとは反対方向だ。どこをどう走ったのかは覚えていない。
     ただ苦しくて苦しくて、走っていなければいられないのだ。

     戸越に彼女がいた。学年で一番可愛い小野さんなんか目じゃないような、大事な彼女が。
     俺は友達なんだから、それを喜んであげなければいけないのに……!

     雨が降っているのがありがたかった。きっと今、自分はとんでもない顔をしている。でも、この頬を流れているのは、雨だ。雨の中を走っているのだ。どんな顔になっていても、気にする人なんていない筈だ。

     メチャクチャに走って走って、口を開ければ雨が口に入ってきて息苦しい。制服はぐしょぐしょで、靴もぐしょぐしょで、体中が重い。それでも、向田は走り続けた。

     気がつくと、隣町まで来ていた。
     先生が言ったように、雨は通り雨だったらしい。段々勢いが弱まってきて、とうとう雨が止むと、向田はまるで憑き物が落ちたように足を止めた。

     帰ろう。あんまり遅いと、おばあちゃん達が心配する。お昼ご飯を作るのだって手伝わないといけないし……。
    とぼとぼと、家に向かって歩き出す。

     俺……どうしちゃったんだろう。なんでこんなに苦しいんだろう。

     あぁ、そうか。俺、何も知らなかったから……。親友だと思ってたのに、戸越が何にも言ってくれなかった……。
     ひょっとしたら、親友だと思っていたのは俺だけだったのかもしれない。いつも俺を助けてくれるから、俺、良い気になってたんだ。戸越は俺のこと、親友だなんて思ってなかったんだ。

     だって、戸越はいつもクラスの真ん中にいて、友達だって多い。俺のことは小1の頃から一緒にいるし、きっと優しい戸越は俺のこと心配してくれてるだけで、何でも話せるような友達じゃなかったんだ……。

     そう思ったら、また涙が溢れてきた。

     でも大丈夫。髪からぽたりぽたりと流れてくる雨と、誰も見分けなんてつかないから。ひょっとしたら、これは涙なんかじゃなくて、最初から雨だったのかもしれない。だって、これくらいのことで泣くなんて、おかしいから。

     不意に、妹の台詞が浮かんできた。

    『彼氏や彼女が出来たら、他の子は好きって言っちゃダメでしょ?』
    『だからひな、好きって言えないの。辛いよねぇ……』

     そうか。それじゃあ、俺ももう好きって言えないんだ……。

     そう思ったとき、向田は足を止めた。

     え?何?俺、今なんて思った……?
     その考えに、背中がゾワリとした。


     俺ももう、戸越に好きだって言えない……?


     好きだって?好き…?でも、戸越はどんなに綺麗な顔をしていても男だぞ?それに戸越は俺の親友で……いや、違う。親友だと思ってたのは俺だけだったんだ。第一なんだよ、好きなんて。そんな事、迷惑に決まってるのに……!

     足下に、水たまりが出来ている。そこに、ボロボロになった自分の姿が映っていた。

     大きな背。大きな体。頬に走る、大きな傷痕。

     思わず、向田はその水たまりを足で踏みつけた。何度も何度も。
     こんな自分を映すな。こんな、無様でみっともない男の姿を。

     気が済むまで、水たまりを蹴散らした。周りの通行人が、向田を怖そうに見つめている。ひそひそと何か囁き合いながら帰って行く、同じ中学の生徒の姿も見える。
     向田は急に恥ずかしくなって、その場を逃げるように後にした。


     ◇◇◇ ◇◇◇


     とぼとぼと家に向かって歩いていると、不意に名前を呼ばれた。

    「向田!どうしたんだよ、その格好!」

     顔を上げる。振り返る。
     声を聞いただけで分かる。

     そこにいるのは、やっぱり戸越だった。

    「……戸越……」

     どうして、ここにいるんだろう。小野さんとの話はもう良いのかな。……あぁそうか。彼女がいるから、きっと長居は避けたのだろう。

    「大丈夫か?一緒に帰ろうって言ってたのにいないから、俺、探したんだぜ?」
    「……だ、いじょうぶ……」

     向田は、無理に笑おうとした。でも、それは上手にできなかった。

    「向田……泣いてるのか?」
    「ち、違うよ。だって、どうして泣くの?」

     向田は戸越に顔を見せないように足を速めて、ずんずんと先を歩いていく。普段、向田は戸越の歩く速さに合わせて歩いている。今ではその速さが、向田の歩く速さになった。だが、今日は違った。戸越の顔を見たくなくて、向田は戸越に背中を見せて歩き続けた。
     戸越は少し呆気にとられ、それから意を決して足を速めた。そして向田に追いつくと、向田の顔を下から見上げる。

    「……なぁ、ひょっとして」
     戸越がそう言った時、向田の肩がびくりと震えた。その様子を見て、戸越はようやく合点がいったようだった。

    「そっか。やっぱり、見ちゃったんだ……」
     その顔は困ったようにも、恥ずかしそうにも見える。

    「参ったよ。俺、まだ彼女とか興味ないのにさぁ」

     その言葉に、向田は大きな鉄の塊を飲み込まされたような気がした。

    「……どうして……」
    「え?」

     向田の身体は、微かに震えていた。

     だって、戸越が嘘をついた。
     俺に嘘をついてまで、彼女がいることを隠そうとするなんて……。

     急に震えだした向田に驚いて、戸越がますます向田を覗き込もうとする。

    「ど、どうしたよんだ、向田」
    「何でもないよ……」
    「何でもなくないだろ!?だったら何でそんな顔してるんだよ!」
    「元からこんな顔だよ!」

     顔を手で覆う向田の腕を、戸越が外そうと引っ張る。まだ成長期が始まっていなくて、160cmにも満たない戸越がそうしても、まるで大人と子供のケンカのようにしか見えない。でも今、戸越にはそんな事に構っている余裕などないようだった。

    「向田、何怒ってるんだよ!」
    「怒ってなんかないよ!」
    「じゃあ何で1人で帰っちゃったんだよ!どうしてそんな顔してるんだよ!」
    「だって!」

     だって、戸越が俺に嘘をいた。
     ずっと親友だと思っていたのに。
     戸越にとって自分がその程度の存在だと分かって、どんな顔をしろというのだ。

     あぁ。俺はおかしいのだ。戸越が俺に嘘をついたくらいのことで、どうしてこんな気持ちになるのか。それを教えて欲しいのは、俺の方だ……!!

    「向田、ちゃんと言えよ!言わないと分かんないだろ!」
    「だって…、嘘ついたじゃないか……」
    「え?」

     ぽろっとこぼした向田の言葉を、戸越は意外という顔で聞いていた。

    「俺はずっと戸越のことを親友だと思ってたのに。俺は戸越に隠し事なんてしないのに。なのに、戸越は俺に嘘をついた……!彼女がいること、俺に嘘ついてまで隠さないとダメなの!?俺、別に言いふらしたりしないのに……!戸越は……戸越は俺のことなんか……」

     言いながら、向田の目からは涙がポロポロポロポロこぼれて止まらなくなった。

     最初、戸越は驚いた様な顔をしていた。びっくりして、口をポカンと開けて。
     それから戸越は嬉しそうに笑うと、向田のぐっしょりと濡れた身体に思いっきり抱きついた。

    「!?」
    「バカだなぁ、向田!!」

     今度驚いた顔をするのは、向田の番だった。自分がこんなに悲しくて悔しくて堪らないのに、戸越が嬉しそうな顔をして自分に抱きついてくる理由が、向田には全く分からない。

    「何だ!そういうことか!!バカだなー!あんなの嘘に決まってるじゃん!!」
    「う…うそ?」

     嘘は…ついていただろう。自分には彼女はいないって……あれ?嘘?

     どっちが、嘘?

    「嘘だよ。彼女なんかいねぇよ!だってあいつうるさくて、ああでも言わないと自分とつき合えってしつこいんだよ!」
    「彼女……いないの……?」
    「いないよ!だって、女なんかと一緒にいるより、お前と一緒にいる方が数万倍も楽しいのに!!」

     戸越は向田の背に回した腕に力をこめ、更にその腕でバンバンと背中を叩いてきた。

    「も〜!ごめんな、不安にさせちゃって!でも俺、向田がそうやってむくれてくれて、すげぇ嬉しい!やべぇ、どうしよう!!マジで嬉しい!!」
     戸越はそう言って、いつまでも向田に抱きついていた。抱きついているというよりそれは、しがみついているようにしか見えなかったけれど。そんな事は戸越にとって、どうでも良いことだ。

    「と、戸越、濡れちゃうよ?」
    「良いよ。向田もびしょ濡れじゃん。お揃いお揃い!」
     でも風邪引いたらいけないから帰ろうかと、戸越が向田の手を繋いで歩き出した。

    『彼女なんていねぇよ!』
    『いないよ!だって、女なんかと一緒にいるより、お前と一緒にいる方が数万倍も楽しいのに!!』

     その言葉を思い出して、カーっと頬が熱くなる。

     それ、どういう意味だろう。
     それ、どういう意味だろう。

     そんな事ばかり頭の中でグルグルして、他のことは何も考えることが出来ない。

    「ほら向田!帰ろうって!飯喰ったら向田んち遊びに行って良い!?」
    「う…うん」

     ぐいぐいと向田の腕を引っ張りながら、戸越は上機嫌で喋っている。

    「そうだ!夏祭り、神社の奴と商店街の両方行くだろ?俺甚平さん着てこうかと思うんだけど、向田もお揃いでどう?あと、学校のプールの検定の前に、どっかのプールで隠練(かくれん)しに行こうぜ?それとさぁ、夏休み中、1回くらいお前んち泊まりに行って良い?まぁお前んちが良ければ、2回でも3回でも行きたいんだけどさ!そしたら、あのDVDボックス、全部一緒に見れるじゃん?それから……あー!もうやっと夏休みだよ!夏休み、超楽しみ!!たっくさん遊ぼうな!!」

     戸越が振り返って、向田を見上げてくる。

     なんだかまた、向田は泣きたくなってしまった。でも、どうして自分が泣きたいのか、理由が全く分からない。

     ただ、嬉しくて。

     戸越が嘘をついていた訳じゃないと分かって。戸越が自分と同じように、自分のことを親友だと思ってくれていて。
     女の子とつき合うより、自分と一緒にいる方が楽しいと言ってくれて。

     ただ、嬉しくて。幸せで幸せで幸せで、泣きたくなってしまうのだ。

     ひなが言ってた。夏休み前に彼氏を作って、夏休みには一緒に夏祭りに行ったり、プールに行ったりして思い出を作るんだって。

     戸越が俺とそうした思い出を作るのは、きっと短い間だろう。今は俺と一緒が楽しいと言ってくれてるけど、もうじきしたらきっと彼女を作って、彼女と一緒にいる方が楽しくなるに決まっている。
     それでも、今は俺と一緒にいたいと言ってくれたことに感謝しよう。あぁ、誰に感謝したら良い?ひょっとしたら、今まで散々裏切られてきた、神様に。

     大丈夫。もし戸越に彼女が出来ても。戸越がちゃんと俺に言ってくれれば、俺はきっとこんなに悲しい気持ちにはならない筈だ。きっと、自分はそれを笑顔で聞くことが出来る。

     でも、今だけは。
     今年の、この夏だけは。

    「ほら、行こ、向田」

     自分の手を握り、引っ張ってくれる戸越の手を、向田もぎゅっと握り返した。

     雨が降りきった空は真っ青で、水たまりは鏡のように、空の青さを映している。
     青を映した鏡の中に、真っ白な入道雲がモクモクと広がり、どこかから真っ青な葉っぱが舞い降りてきて、水たまりに綺麗な水紋を描く。

     あぁ、最高の夏休みになる。きっと最高の夏休みになる。

     何をして遊ぼう。何をして遊ぼう。
     戸越と2人なら、どんなことでも最高の思い出だ。

     向田も口元に笑顔を浮かべ、戸越と2人で並んで歩く。


     それは、向田が恋を知る、少し前のお話。


            おしまい    


    ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


    皆様、いかがだってでしょうか。

    「水たまり祭り」は、ひかるさんのこんなツイートから始まりました。

    『水たまりに白い雲と青空がうつっていて、そこに葉っぱが一枚落ちて緩やかに波紋をつくる……というようなイラストが表紙の狄紊燭泙蠅領疆な話を私にください。初恋の甘く切なげなやつ。』

    この言葉に即座に反応した数人で、同じテーマでお話を書かせていただいております。
    同じテーマなのに、皆様まったく違う話で、カラーも何もまったく違って、ものすごい勉強になりました!
    ありがとうございました!!


    参加者は以下の通りとなりますが、まだまだ参加者を募っておられるようですので、ぜひ「私も書いてみよう!」と思われたら、ひかるさん宛でもワタクシ宛でもご一報下さいませ。※(公開時順)

    mizutamari_banner.jpg
      ※「水たまりの恋祭り」公式バナーです。祭りのトップページに移動します

    BL-R18+ ひかる様 『水たまりの恋』
    真昼の月 イヌ吉 『水たまりの恋』
    沈丁花 ますみ様 『水たまりの恋 −雨の日の出会いー(前編)』 『水たまりの恋 −雨の日の出会いー(後編)』
    夢見月夜曲 日高千湖様 『水たまりの恋』
    いつまでも恋愛脳 泡沫 茉葉様 『水たまりの恋』 『水たまりの恋 2 《虹と水玉模様》』※NL(男女の恋愛もの)になります!ご確認の上お越し下さい!!


    他にも書かれてる方いらっしゃるのかしら……。参加者の方ぜひこちらからもリンクを貼らせて下さいませ!


    さて。

    ワタクシはこのお題を見たときに、「初恋!初恋の甘く切なげな奴!!こ、これは前から皆様にリクエストいただいていた『王子様の右手』の続きにぴったりなのでは!!」と滾りまして、速攻でこのお話を書かせていただきました!

    いかがだったでしょうか。
    なにしろ高2の『王子様の右手』で向田君あれだけ乙女だったので、中学の頃ならもっと乙女かと思ったのですが、どうでしょうか💦
    ……ほら、イヌさん、オヤジばっかり書いてるから、なかなかこう爽やかで甘く切なげってのがクリアできてるのか自信がないのです……(つд`)

    でも!!

    過去編も書きましたので、出来れば続編?未来編?も書きたいと思っておりますよ!まだモヤモヤ〜と考えている段階なのですが!!もし「未来編も読みたいよ!」と思って下さる方がいたら、「過去編書いたんだから、未来編も頑張るよ!」と決意表明しておきますね〜!

    最後に、このような素敵なお題を下さったひかるさま、本当にありがとうございました!
    ひかるさんがお題をくれなかったら、きっと『王子様の右手』は「続き書きたいな〜」のまま、口先星人で終わっていたと思います💦
    このような機会を下さって、本当にありがとうございました!



    えと、短編ですので、コメント欄を設けております。

    「水たまりの恋祭り、万歳!」だけでも残していただけますと、イヌまっしぐらに喜びます!

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    なお、イヌ吉はものすごいチキンなので、怖いメッセージの場合、非公開のままにしてしまうこともありますので、ご了承下さいませ。

    それでは皆様、最後までのお付きあい、ありがとうございました!
     


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    Comment
    早速来ました!
    オトメンな男子の可愛らしさにドキドキして読みました。腐腐

    生まれた時から・・、に近い頃からの傷。
    これが服の下にある傷だったら、って思ったこと、何回もあるだろうなあ、向田クン。

    でも、戸越くんが居るから、これからは大丈夫だね!


    良かった―♡
    • ますみ
    • 2015/07/21 12:38 AM
    はじめまして♪
    スゴく懐かしいような…甘酸っぱい気持ちになりました
    ひかる様の所から飛んできて良かったです
    ありがとうございました
    • そら
    • 2015/07/21 12:56 AM
    >ますみ様
    コメントありがとうございました!
    まさかこんなに早くに反応があると思わなくて、ありがたいやらびっくりするやらで!ありがとうございます!!


    向田君は、戸越君がいるから大丈夫です!向田君が後ろ向きでも、いつもで戸越君が前に引っ張っていってくれますから!

    明日から、ますみさんのお話が始まるのですね?
    すごい楽しみにしております♥
    • イヌ吉
    • 2015/07/21 1:18 AM
    >そら様
    コメントありがとうございす!!
    わわ、ひかるさんの所から!いつもひかるさんにはお世話になっております!時々誌面にお邪魔させていただいて、お騒がせしてすいませんです(>ω<;)

    甘酸っぱかったですか!?わ〜!!嬉しい!超嬉しいです!!私本当にいつもオヤジな話ばかり書いているので、ちゃんと甘酸っぱい初恋になっているか不安だったので、本当に嬉しいです!

    これからも、これをご縁に、よろしくお願いしますm(_ _)m
    • イヌ吉
    • 2015/07/21 1:23 AM
    おはよーございますwwwイヌ吉さんっ♪

    なんか、楽しそうな事やってる〜〜ー ̄) ニヤッ

    なんていうの、初恋って忘れた頃に思い出すんですよね(あんたの記憶力の問題だろって、ツッコミはご遠慮願います)

    廊下ですれ違った時にほんの一瞬感じる体温とか、自分だけに言われたわけではない「おはよ」が、新鮮だった頃を思い出しました!!爽やかSSをありがとうございました!

    日高も書いてみようかな〜♪

    これって、タイトルは統一ですか?
    • 日高千湖
    • 2015/07/21 6:52 AM
    >日高千湖様
    わわわわ!コメントありがとうございます!!
    私は初恋って「あれが初恋だったのかな〜」なクチなので、ボンヤリと思い出す感じなのですが、それだけに初恋に関する妄想が妄想が……。日高さんのコメントを読んで「そうか!初恋ってこれか!!!あぁ!コメントがもうなんか甘酸っぱい……!」と、眩しさでいっぱいです!

    え!?マジデスカ!?書いて下さるのですか!?それはリンクを貼っても大丈夫な感じですか!?マジデスカ!!!読みたいです読みたいです!!ぜひお願いします!!

    タイトルは統一ではありません!!私はタイトルつけるのが苦手なので、ひかるさんに乗っかりました(>ω<;)

    うわ〜!心の底からお待ちしております!!
    こ、興奮して鼻血が出そうです!!!
    正座してお待ちしております!!!
    • イヌ吉
    • 2015/07/21 12:54 PM
    こここ、これはまさに!私の期待していた過去編じゃないですかぁ〜〜〜!!!
    この時すでに、向田君てば自覚の薄い恋心ですね!
    そして、それにちゃっかり気付いてますよね!?戸越君!!
    初々しくて、自分の気持ちをどうしたらいいのかわからない向田君はやはりこの当時も乙女ですね(*´∀`)
    可愛い二人をご馳走さまでした 〜!
    • meiko
    • 2015/07/22 9:43 PM
    >meiko様
    コメントありがとうございます!
    期待してた抱いた通りな感じになっておりますでしょうか!?ドキドキです!!

    向田君はこのすぐ後に自分の気持ちに気づく予定!!そして戸越君は……気づいてるのかな?いや、この頃から「ひょっとして向田も俺のこと!!」とかかもしれないですよ?ふふふ。

    こちらこそ、いつもステキな妄想をごちそうさまです!
    次はmeikoさんの番よ!?
    • イヌ吉
    • 2015/07/22 11:47 PM
    こんにちは〜今夜、『水たまりの恋』をUPさせて頂く事になりました〜♪

    あっ、知ってる?すみませんっ!!

    ご報告が遅くなっちゃいましたwwwごめんなさい!!

    • 日高千湖
    • 2015/07/23 2:35 PM
    >日高千湖様
    お聞きしました!
    すっごい楽しみです!
    正座してお待ちしておりますv
    • イヌ吉
    • 2015/07/23 8:00 PM
    管理者の承認待ちコメントです。
    • -
    • 2015/08/01 9:36 AM
    >鍵コメM様
    コメントありがとうございます!
    わわわ、ありがとうございました!直しました直しました!教えていただいて助かりました!!ありがとうございます!

    お祝いもありがとうございました!
    お祭りに参加させていただいて、新しいお話を読んでもらうことが出来て本当にありがたいです。水たまりの恋祭り、万歳です!!


      >向田くん健気で素敵、健気なのは戸越くんだけ知っていればいいよ〜。

    あぁ!!そのコメントが萌です!そうですよね!?そうですよね!きっと向田君の可愛いところを他の子が知っちゃったら戸越君が怒りますよね!ワクワク

    またこのお話は続きを書くかもしれませんので、その時にはどうぞまた遊びに来て下さいませ。
    • イヌ吉
    • 2015/08/01 12:56 PM








       
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